医業経営コンサルタント協会愛知県支部での認定研修の
講師を務めさせていただきました。
愛知といえば、2019年の愛知学会で診療所のホームページの活用に
ついて発表させていただいた思い出があります。
昨年の京都大会でのSNS活用に関する発表をきっかけに、
今回の認定研修の講師をご依頼いただきました。愛知大会の
頃から私の発表に注目していただいていたと伺い、大変光栄に
存じました。
リアルとオンラインのハイブリッド開催となり、
医業経営コンサルタント学会の会員だけでなく、
愛知県医師会の認定研修としても配信され、
全国で70人近い医療関係者・コンサルタントの方々に
受講いただきました。
テーマは「SNS活用による今後の医療機関経営」です。
学会発表ではわずか20分でしたが、今回は120分の認定研修
として、調査・分析の背景も含め、コンサルタントおよび
開業医の先生方の実務に活かしていただけるよう準備
いたしました。
🔸情報格差が広がっている
レジュメを準備しながら強く感じたのは、世の中の「情報格差」
が広がっているということです。
ひと昔、ふた昔前の高度成長期は、新聞・雑誌・テレビなど
マスコミからの情報が主な情報源でした。
当時は、テレビやニュースを見て「これが流行っているから欲しい」
「みんな行くからうちも旅行に行こう」と、情報の出元も質も
似たようなものでした。
自社の商品・サービスを知ってもらうためには広告が必要不可欠
でした。しかし、大手企業と違い、中小企業は大きな広告予算を
持ち合わせていません。
そのため、地元のメディアを活用するなど、
できる範囲での情報発信を行ってきました。
多くの中小企業は「予算がない」「中小企業だからできない」
「効果は期待できない」などの理由をつけて、積極的な情報発信を
避けてきました。
しかし現在は、ネット社会
SNSも全盛期です。
ここで、情報発信している企業としていない企業の「情報格差」が
顕著になってきています。
規模に関係なく、必要性を認識している企業は積極的に発信して
います。単なる発信にとどまらず、自社に必要な「情報収集」を
行い、顧客や市場に求められる「情報発信」を実践しています。
そこで活用されているのが、費用のかかる「広告・宣伝」では
なく、自社の価値・思いを伝える「広報手段」としてのSNSです。
インスタグラム、Facebook、X、TikTok、YouTubeなど、手段は
多様化しています。
🔸あなたの常識は私の非常識
もう一つ注目すべき点は、情報の偏りが拡大していることです。
若い世代だけでなく、有識者の中にもテレビのニュースや
新聞の情報は偏向していると考え、これらのメディアを避ける
人々も増えています。
「テレビで言っていたから」
「インスタでみんな言っている」
というだけでは、必ずしも社会の真実を反映しているとは
限りません。
SNSには、ユーザーの興味に応じた情報や
コンテンツを優先的に表示するアルゴリズムが
存在するため、自分の関心のある投稿や広告ばかりが
表示される傾向があります。
これにより、特定の視点や考え方に偏った情報に
接する機会が増え、知らず知らずのうちに情報が
コントロールされる時代となっています。
あなたが常識だと思っていることが、他者に
とっては全くの非常識である可能性もあります。
それが悪いことではなく
SNSはそういう特徴があるメディアです。
重要なのは、「情報を積極的に集める」人々と、
従来型の「情報に受け身」な人々が存在するという現実です。
例えば採用の場面では、
「情報を積極的に集め」行動する人材と、
常に「受け身の人」では、
どちらが魅力的に映るでしょうか。
企業の規模や業種に関係なく、
求める人材を採用したいと考えるなら、
それらの人々への「情報発信」は不可欠です。
現在、SNS発信を行っている企業はまだ少数派かもしれません。
しかし、5年後、10年後はどうでしょうか。
発信手段を確立した企業は継続的な情報発信を行い、
それができない企業は取り残される可能性があります。
選ばれる企業になれるかどうかは、
経営者の判断にかかっています。
🔸まとめ
今やSNSを使えば、お金をかけなくても企業の思いを伝えられる
時代になりました。でも実際にやっているのは、まだまだ 少数派。
この流れは今後さらに加速していくでしょう。これからの5年、
10年で、情報発信をしている企業としていない企業の差は
もっと広がっていきます。
選ばれる企業になるためには「情報発信」が欠かせません。
「うちは小さいから」「予算がないから」と諦めるのは
もったいない。今こそ、一歩を踏み出すときかもしれませんね。
自社に合った方法で、できることから始めてみましょう。