なぜ、今採用の見直しが必要なのか?
「求人を出しても応募が来ない」 「せっかく採用できても、すぐに辞めてしまう」
最近、こんなお悩みをよく耳にします。
実は、この課題を解決するヒントが「マーケティング」の考え方にあるんです。
今回は、当社が数多くの採用支援を行ってきた経験から、
特に効果的だった「3つの価値」という考え方をご紹介します。
採用市場で語られる3つの価値とは
まずは、一般的な採用活動で重視される
3つの価値について見ていきましょう。
1.心理的価値
「新しい職場って、どんな雰囲気なんだろう…」
誰もが抱くこんな不安や期待に応える情報です。
- 実際の労働時間や休暇の取りやすさ
- 職場の雰囲気
- 先輩社員の声
- 育児との両立事例
2.機能的価値
会社の事業内容や強みに関する部分です。
- どんな商品・サービスを提供しているのか
- どんな研修制度があるのか
- 具体的な仕事内容は?
3.経済的価値
いわゆる待遇面の条件です。
- 給与体系
- 福利厚生
- 昇進・昇格の仕組み
ここで視点を変えてみましょう。
実は、マーケティングの世界にも「3つの価値」という考え方があります。
これを採用活動に当てはめてみると、とても興味深い発見がありました。
マーケティングの3つの価値を採用に活かす
1.機能的価値
基本的な条件面です。採用のの「機能的価値」と「経済的価値」を含みます。
【採用ページでの工夫例】
スタートアップのIT企業では、採用ページに「透明性のある評価・報酬」
というセクションを設け、以下のような情報をビジュアル化して掲載しています:
- 職種別の給与レンジを実際の数字で表示
- 各ポジションで求められるスキルマップを図解
- 昇進時の給与上昇モデルケース
- 過去3年間の昇給実績データ
結果、「将来のキャリアパスが見える化されている」と好評で
特に第二新卒からの応募が増加したそうです。
2.情緒的価値
採用の「心理的価値」に近いですが、より深い部分まで掘り下げます。
【求人票での表現例】
ある中小企業では、従来の「働きやすい職場です」という抽象的な表現を、
以下のように具体的に書き換えました:
変更前:
「アットホームな社風で、働きやすい環境です」
変更後:
「毎月のランチ会では、役職に関係なく
全員が新商品のアイデアを提案できます。
先月は、入社2年目の営業担当から提案された
『お客様の声改善プロジェクト』が正式に発足。
若手の意見も積極的に採用される社風です」
このように具体的なエピソードを記載することで、
応募者からの「この会社なら自分の意見も聞いてもらえそう」
という反応が増えたそうです。
3.自己表現的価値
これが実は一番大切なポイント。
その会社で働くことで、自分らしさを表現できるか?という価値です。
【採用サイトでの表現例】
あるWeb制作会社では、採用サイトのトップに
「あなたらしさを、仕事の強みに」というメッセージを掲げ、
以下のようなコンテンツを展開しています:
- 「個性×仕事」インタビューページ
- 元パティシエの経験を活かしてUXデザイナーに転身した社員
- 育児をしながらフルリモートで働くプロジェクトマネージャー
- 趣味のゲーム制作がきっかけでエンジニアになった営業担当
- 「チャレンジ制度」の紹介
- 誰でも新規プロジェクトを立ち上げられる制度
- 副業・複業の推奨事例
- 社内勉強会の講師募集制度
この採用サイトを公開後、
「自分のバックグラウンドを活かせそう」「働きながら自己実現できそう」
といった感想が面接で多く聞かれるようになったとのことです。
なぜ、自己表現的価値が重要なの?
ここで、マズローの欲求階層説という考え方が参考になります。
人間の欲求は、下から順に:
- 生理的欲求(食べる、寝る)
- 安全欲求(安定した収入)
- 所属と愛の欲求(組織への帰属感)
- 承認欲求(認められたい)
- 自己実現欲求(成長したい)
という段階があると言われています。
つまり、給与などの条件(機能的価値)が整っても、
それだけでは人は満足できないんです。
組織の一員として認められ(情緒的価値)、
さらに自分らしく成長できる(自己表現的価値)環境があってこそ、
長く活躍できる職場となるわけです。
明日から実践!3つのポイント
1.基本的な条件は明確に
- 曖昧な表現は避け、具体的な数字で示す
- 将来のキャリアパスも可視化
2.組織の文化や雰囲気を具体的に
- 実際のエピソードを交えて紹介
- 現場の声を積極的に発信
3.自己表現・成長の機会を示す
- 具体的な事例を挙げて説明
- 先輩社員の成長ストーリーを紹介
終わりに
採用活動は、単なる人材の確保ではありません。
その人がいきいきと活躍できる環境をアピールすることが、
実は一番の採用力になるのです。
次回は、この考え方をベースに、
広報をベースに組織の成長につながった具体的な取り組みをご紹介します。お楽しみに!