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#120 コストカットより大事なことーお客様がお金を払いたいのは何?

5月 12, 2024

 

昨日、「まちづくりに経営を」というコンセプトで
持続できる地方活性化を支援されている木下斉さんの
日経新聞の取材記事を紹介しました。

昨日のメルマガでは、
ターゲットを明確に価値を伝える商品提供で
価格を上げましょうという話をしました。


記事の中には、
「価格競争で値下げしようとコストカットを考えるのと
値上げするため何ができるのかを考えるのでは
全く発想の仕方が違う」という文章がありました。

コストカットしても結局キリがないんですね。

コストカットして
いい商品・サービスを提供し続けるのは至難の業。

我慢比べしても結局は社員も疲弊してしまう。
お客様への提供できる価値の維持も限界がある。

何より仕入れ先にも無理をお願いせざるを得ない。
残念ながら負の連鎖に陥ってしまう。


コロナ前に支援した料亭の話を思い出したので
紹介します。

コンサルタントは「コストカットしろ」というけれど

経営コンサルタントとして
埼玉県内の美容・健康・飲食などのサービス業の
経営改善のお手伝いをしています。


数年前、埼玉県内の旧街道沿いの料亭の支援をした時のこと


既に冠婚葬祭の風習が大きく変化していて
地域の方々のお祝い事や法事、企業の接待の機会が減り
かなり経営状況が悪化していました。


金融機関からリスケ計画を立てるため
紹介された別のコンサルタントと一緒に
「コストカット」できることを検討していたそうです。


その中で
わたしが絶対コストカットしてはいけないと
強く伝えたことがありました。


それは料亭の名前の書かれた「箸袋」と「お品書き」を
やめること。


確かにすぐに捨てられてしまうものですが
その料亭の場合は「箸袋」「お品書き」に
大きな価値があります。


近隣の企業が会議で使っていた食事会の機会が減り
お弁当の注文に変わった

ご親族の法事も身内だけになって
人数が減って利益率が下がっている

などが理由でしたが
このコストカットは大変危険だと感じました。

旧街道沿いの山深い場所にある離れの個室が
特徴のお店です。

会席の予約時にはおかみさんが
会の目的やご参加の方のお好みをお聞きし
板前さんのご主人がお席に合わせたメニューを作成し
その記録が全て残っている。

季節のお料理のつま、あしらいは
ご主人自らが庭から摘んで料理に合わせて添える。


おかみさんがお庭のお花を生けて
掛け物や調度品と合わせて会席に合わせて
お部屋のしつらえを整える


そんな料亭でしたが
不景気が続き、お客様の予算削減で
会席からお弁当に変更になり
売り上げも利益も下がっていました。



「箸袋」「お品書き」の費用や手間を削減したい気持ちは
よく分かりますが、これはコストカットしてはいけない
費用です。

(写真は他店のお品書きの例
 名前入りのお品書きがうれしくて写真をとりました)

価値を生み出す、伝える費用は、競争力の源

会議に出た取引先や社員は
わざわざあのお店のお弁当を取り寄せてくれた
経営者の気持ちが嬉しい。

箸袋一つで
会議や参加者の人を大事にしている気持ちが伝わります。


お品書きには
お客様のご注文を受けた時のおかみさんの気持ちと
旬の食材を選びながらお品書きを考えた
板前さんの思いとかすべて詰まっています。


お品書きを通して、ご注文された方も
大切にされているという思いが伝わります。


会議の席でも

「〇〇のお弁当、用意してくださってありがとうございます」

「今日は、季節の〇〇が美味しいそうです」とか
その場にいない料亭のみなさんのお顔を思い浮かべながら
話が弾みます。

お店を知らないお客様だったら
ぜひ、一度お店の方にも行ってくださいと
紹介が生まれます。


価値を生み出す費用
価値を伝える費用と
ただの経費とは大きく異なります。


どうしたら値上げできるかと考える時にも
この視点が大事になります。

場合によっては、
値上げするためにいい材料を取り寄せるため
原価が上がるかもしれない。



それでもそこにお客様が価値を見出して
喜んでお金を払ってくださる。

無駄な経費は削除しなければならないけれど
価値を生み出す費用、価値を伝える費用は
コストカットしてしまうと競争力がなくなります。


「料亭〇〇」の箸袋がなければただのお弁当。
いつの間にかもっと安いお弁当に切り替わってしまいます。


値下げではなくちゃんと価値を伝える

その価値を必要とする人から適正な費用を受け取る

 

何か欲しいもの、必要なものがあった時
お客様は誰かにお金を払いたい
その時に選ばれるのは
価値を伝えている人・企業です。


値上げ交渉できないという前に
一度、自社の提供価値を棚卸して

正しく伝え、正当な価格を提案できないか
ぜひ、社員と一緒に考えてみてはいかがでしょうか?

実際に大手企業に値下げは絶対無理だから
この価格では提供できないと取引停止覚悟で申し入れたら

この材料がないと自社の商品・サービスの質が維持できないと

値上げしてもいいから納品を続けて欲しいと言われた
例もたくさん聞きます。


今日は
以上となります。

連休最終日、ゆっくりお休みください。

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